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時計が作られ誕生する場を、






お見せしたいと思います。

– – ブランパンCEO マーク・ハイエック
 続く「Lavage」(洗浄)工場では、すべての部品を中性洗浄剤入りの熱湯に浸し、超音波で洗浄している。最後に、各部品はジュウ渓谷の別の場所にある装飾工場に運ばれ、そこで装飾と二度目の洗浄が行われる。以上がT0の工程である。


ブランパンの新型ヴィルレ ウルトラスリムのケースバック。

 次に、2階のT1に運ばれる部品の後を追い、我々も移動する。T1は、時計職人が部品を組み立て、ムーブメントを完成品に仕上げる工程だ。この工程の作業場では、土埃を中に持ち込まないよう、靴の上に青色の使い捨てオーバーシューズを履かなければならない。

 作業場では実験用白衣を着た男女が、ワイヤーで頭に固定したルーペを通して、地板、ブリッジ、リューズの組み立てを行っている。職人たちはビスに正確な圧力をかけられる電動ドライバーを使い、潤滑油には8種類の異なるものが用いられていた。彼らは手作業で香箱を組み立て、アンクルとシリコン製ヒゲゼンマイをエスケープメントに固定するなど、キャリバーを完成させるのに必要なあらゆる作業を行っている。

 ムーブメントの完成品は、すべてここで試験を受け調整されたうえで、T2に送られる。T2は時計の組み立て工程にあたり、同じ建物の別の場所で行われている。オリス時計修理ところが我々は、近くのル・ブラッシュ村にあるブランパンの複雑機構工場に向かう。そこで一行を迎えるのは、実験用白衣に身を包んだブランパンのCEOマーク・ハイエックだ。


ヴィルレ ウルトラスリム。ケース厚7.39mm、ケース径40mm。

「農園」、ブランパンがそう呼ぶ工場は、複数の小さなアトリエからなる。建物はもともと、ル・ブラッシュ村の丘を流れる小川の隣に立つ製粉所であった。ここでは熟練職人が、ブランパンで最も緻密な複雑機構の時計として、ミニッツリピーター、スプリットセコンド・クロノグラフ、トゥールビヨン、カルーセルに加え、複雑なカレンダーを生産している。あるアトリエの外に飾られた展示品が、工場で起きているドラマを見事に描いている。1991年のブランパン 1735 グランドコンプリケーションに使われた、740点もの部品が展示されているのだ。当時、史上最も複雑な自動巻き腕時計であった。

 ここでも、各アトリエが、ムーブメント部品や文字盤に装飾とエングレービングを施すことに専念している。アトリエからアトリエへと移動しながら、ブランパンの役員から新製品のプレゼンテーションを受ける。なかでもハイエック本人からは、新型フィフティ ファゾムスの説明を受けることができた。